30代でやっとわかった「ちゃんと休むこと」の大切さ
はじめに 疲れているのに止まれなかった自分へ
「最近、なんかずっと疲れてるかも」。そんな言葉が口癖になっていた時期がある。3年ぐらい前。仕事が嫌いなわけじゃない。でも、朝起きた瞬間から「今日も1日がんばらなきゃ」と無意識に肩に力を入れていた。ゆっくり息を吸うことすら、どこか罪悪感があった。今思えば、あの頃の私は、ちゃんと休むということを知らなかった。20代は「努力教」にどっぷり浸かっていた。
大学を卒業し、就職してからはとにかくがむしゃらだった。「成果を出すには努力あるのみ」「24時間戦うのが社会人」そんな言葉を真に受けて、早朝出勤・深夜残業も頑張った。評価されたい、役に立ちたいという思いがあって、プライベートや健康は常に後回しだった。疲れていても休む選択肢は頭に浮かばなかった。
初めて「体が止まった日」 警告だった
28歳のある日、朝起き上がろうとしたら、体が鉛のように重かった。熱もない、ケガもしていない。でも立てなかった。布団の中で「行かなきゃ」「でも動けない」と焦るうちに、涙が出た。病院で言われたのは「心身の極度の疲労」だった。今思えば、それは身体からの最後通告だったのかもしれない。「休めない自分」との葛藤の日々
休職が決まっても、罪悪感が頭を離れなかった。外に出るのが怖くて、人と比べて落ち込み、「自分は価値がない」とまで思った。「みんなは働いてるのに、私は何もしていない」──この感覚が苦しかった。SNSを見ると、輝く同世代の姿が目に入り、自分だけが取り残されたような孤独を感じた。
ちゃんと休むってどういうこと?
そこで初めて「休む」ってなんだろうと考えた。睡眠を取ればいい?旅行に行けばいい?でも、それだけでは心は軽くならなかった。本当に大切だったのは「がんばらない自分も受け入れること」だった。何も生産しない時間、自分に問いかける時間、好きな音楽を聴いて泣ける時間、それが私の休みになった。休むことは、自分との信頼関係を結び直すこと
「もう無理だよ」と小さくつぶやいたとき、心がふっと軽くなったのを覚えている。それは諦めではなく、ようやく自分を許せた瞬間だった。完璧じゃなくてもいい。誰かに遅れてもいい。そう思えたことで、私は少しずつ、本当の意味での整いを取り戻していった。休むことは、心と体の声に耳を澄ませる練習だった。
私が取り入れた「休む習慣」5つ
今の私は、意識的に休むことを生活に組み込んでいる。たとえば、
- 朝起きたら3分間だけ目を閉じて深呼吸する
- 夜はスマホを見ずに、お気に入りの本だけ読む
- 土曜は「やらないことリスト」を作って自分を守る
- 疲れを感じたらその場で座ってお茶を飲む
- 月に1回、「何もしない日」を予定に書く
こうした行動は小さなことだけれど、積み重ねることで「私は私を大切にできている」という感覚を育ててくれる。
働き方を変えなくても「休み方」は変えられる
会社を辞めたり、環境を大きく変えたりしなくても、休むことはできる。それは、日々の意識と選択の積み重ね。優先順位をつけすぎず「まずは自分を整える」をベースにするだけで、行動も言葉も変わってくる。今では「元気そうだね」と言われることが増えた。それはきっと、ちゃんと休んでいるからだと思う。
休める人こそ、折れない
働き続けることも立派だけれど、本当に持続的に走れる人は、上手に力を抜ける人だと思う。「頑張りどころ」を見極めて、「休むべき時」にしっかり休める人は、長期的に見て強い。30代になってその意味がようやくわかってきた。「やりきる力」ではなく「休む勇気」を持てたことが、私の人生を救ってくれた。
おわりに あなたも、ちゃんと休んでいい
今、もしあなたが「ちょっと限界かも」と感じているなら、それはあなたの内側が「そろそろ止まろうよ」と語りかけているサインかもしれません。焦らなくていい。止まってもいい。自分の人生に、心地よい余白をつくる勇気を持ってください。それがあなたの毎日を、もっとあたたかくしてくれるから。
「他人にどう思われるか」より、「自分がどう感じるか」
私は長い間、人の目を気にして生きていた。「あの人より成果が出ていない」「同年代の友達はもっと稼いでいる」そんな風に、自分の人生を他人の物差しで測っていた。でも、心も体も限界を迎えた時、初めて気づいた。他人の期待に応え続けても、自分の心は満たされない。誰かに認められることと、自分を大事にすることは別なんだと。
“ちゃんと休む”ことは、そうした他者基準の生き方から一歩引いて、「私はどうしたい?」と自分に問いかける時間でもある。休む中で見えてきた本音こそが、私が本当に大事にしたいものだった。忙しさの中ではかき消されていた、静かな自分の声。それを聞くには、立ち止まる勇気が必要だった。
休むことは「逃げ」じゃない、「選択」だ
よく、「休むなんて甘えだ」という声を聞く。でも本当にそうだろうか? 休むことでしか見えない景色、整えられないバランスがある。無理をして続けた結果、心や体を壊してしまう人は後を絶たない。私はそれを、痛いほど知っている。だからこそ、声を大にして言いたい。「休むことは、前に進むための戦略だ」と。
誰に許可を取るでもなく、自分のタイミングで休む。その選択ができる人は、実はとても芯が強い人だと思う。私たちは、何かを頑張ることで自分を証明しようとしがちだけど、「頑張らない自分も、そのままでいい」と思えることが、本当の意味での成長なんじゃないかと今は感じている。
これからを生きる私へ──宣言のようなメモ
私は、もう無理をしない。誰かの期待より、自分の感覚を信じる。休むことに誇りを持つ。自分の機嫌を自分で取れるように、丁寧に暮らす。目の前のことをひとつずつ味わって、焦らず、比べず、諦めずに、自分のペースで進んでいく。そうやって歩く人生が、きっといちばん自分らしいから。
もし今この文章を読んでいるあなたも、そんな風に自分を大切にしたいと思っているなら、今日がその第一歩かもしれない。まずは5分、静かな時間を持ってみてください。スマホを置いて、深呼吸をして、「今日はどんな気分?」と心に尋ねてみる。そんな小さな習慣が、きっとあなたの人生を変えていくから。