片づけられない部屋と、整理できなかった心の話

「片づけなきゃ」と思っているのに、気づけば部屋は散らかりっぱなし。
ソファの上には着終えた服、机の上には読みかけの本、足元には脱いだままの靴下。
一度散らかると、どこから手をつければいいのかわからなくなって、余計に疲れてしまう。

でも実は、そんな部屋の状態は、私の、心の中そのものだったのかもしれません。
今回は、片づけられなかった私が、部屋と心を少しずつ整理していった話をしてみますね。

目次

「片づけられない」の正体はおそらくエネルギー不足

「だらしないな」「自分ってほんとにダメだな」って、何度も思いました。
部屋が片づいていないだけで、自尊心が下がる。誰かが来るのが怖くなる。
でも、私が、片づけられなかった理由は、ズボラさではなかったんです(開き直り笑)

単純に、心の余裕がなかったんです。

仕事で疲れ果てて、家に帰ると、もう何もしたくない。
座ったら立てなくなるし「とりあえず明日でいいか」と先延ばししてしまう。
そんな日々が続いていくと、片づけのハードルはどんどん上がっていきました。

母との会話で気づいたこと

ある日、実家に帰ったときのこと。
母にふと「最近部屋どうなってんの?」と聞かれました。
「うーん、ちょっと汚いかも」と答えると、母はこう言ったんです。

「部屋が散らかってるときって、心が疲れてる証拠だよね」

その言葉に、ハッとしました。
たしかに最近、ずっと心がザワザワしてた。
仕事のこと、人間関係のこと、将来のこと、考えることが多すぎて、
片づけなんて、自分の中で後回しになっていたかもしれないと。

部屋と心はつながっている

実際、部屋が散らかっていると、心にも影響が出ます。

朝起きて部屋を見て、ため息が出る

出勤前にモノを探してイライラする

帰宅後にリラックスできない

人を家に呼べないことで孤独感が増す

このループの中にいると、ますます片づけから遠ざかっていきます。

小さな習慣が、心を整えていく

ある日、思い切って「今日は5分だけ片づけてみよう」と決めました。
全部やろうとすると無理だけど、5分だけならできる気がしたからです。

そうやって、私が始めた片づけ習慣がこちらです

✔︎朝、ゴミを一袋だけまとめる

✔︎夜、テーブルの上だけは片づけてから寝る

✔︎洗濯物はハンガーにかけるだけでOKとする

✔︎「完璧」を目指さず「昨日よりマシ」を基準にする

やってみると意外と「ちょっとやれば気持ちいい」ことに気づきました。
そしてその感覚は、心にもじんわり効いてくるんです。

「心を片づける」とは、どういうこと?

片づけを続けていくうちに、ふと気づいたことがあります。
それは「散らかっていたのは部屋だけじゃなかった」ということ。

✅やらなきゃと思って放置していた仕事

✅言いたいのに言えなかった言葉

✅モヤモヤするけど整理していなかった感情

これらも、私の中で、見て見ぬふりをしていた「心の散らかり」だったんです。

部屋を整えると、不思議と気持ちがスッキリして、
「あの連絡、そろそろ返そうかな」とか「明日これやってみようかな」って思えるようになる。

物理的な空間が整うと、頭の中にもスペースが生まれる。
これが、私にとっての「心の片づけ」でした。

失敗した日もあった

もちろん、いつも順調に片づけられたわけではありません。
疲れて何もできずに寝てしまう日もあったし、
「もう無理!」と投げ出したくなる瞬間もありました。

でも、そんな日があってもいいと思うようにしました。
むしろ、「片づけられない日がある」ことを前提にしておくと、罪悪感が減ってラクになるんです。

翌日「今日は机だけでも…」と思って行動できたら、それはもう十分な再スタート。

部屋が整って、生活も気持ちも少しずつ変わった

片づけを習慣にしていく中で、私の生活は少しずつ変わっていきました。
最初は机の上だけだったのが、本棚を整えたり、キッチンの引き出しを見直したり。
ひとつ整うごとに、心の中にも余裕ができるような感覚がありました。

朝、コーヒーを淹れて飲むときに、視界にゴチャつきがないだけで気持ちが整う。
夜、スッキリした寝室で眠るときに「今日もよくやったな」と思える。
そんな、小さな心の変化が積み重なって、自分に対して優しくなれた気がする。

昔の私との違い 過去の自分を責めなくなった

数年前の私は、散らかった部屋を見るたびに「やっぱり私ってダメだな」と自分を否定しがちでした。
でも今では「あ、疲れてるんだな」「ちょっとだけ手をつけてみようかな」と思えるようになってきました。

部屋が整うことで、自分を責めるきっかけが減るんです。

逆にいうと、部屋が散らかっているときは、自分を攻撃しやすい状態でもあると言えます。
だからこそ、整った空間は「自分への優しさにつながる」と今では思っています。

今日からできる、片づけのはじめ方

読者のあなたに、無理なくできる片づけのヒントをまとめてみました。

✅「片づけなきゃ」ではなく、「気持ちよく過ごしたい」から始める

✅タイマーを5分だけセットして動いてみる(短時間でOKです)

✅捨てることより「よく使うモノを取り出しやすく」することを意識

✅完璧を目指さず、昨日よりちょっと整っていればOK

そして、できなかった日があっても大丈夫。
むしろ「毎日やらない」と割り切ることが、続けるコツだったりします。

私にとっての片づけとは

片づけって、物を減らすことでも、部屋を美しく保つことでもないのかもしれません。
私にとっての片づけは「自分と向き合う時間」でした。

  • どんな暮らしがしたいのか
  • どんな気持ちで1日を終えたいのか
  • どんな空間にいると安心できるのか

そういう問いを、少しずつ言葉にしていく過程だったのだと思います。

物が整うと、考えも整う。
考えが整うと、行動も変わる。
行動が変わると、少しずつ自分を肯定できるようになる。

片づけは、そのサイクルのきっかけになる入り口のようなものだと、私は思っています。

片づけとは、自分を取り戻すことかもしれない

部屋を整えることは、心を整えること。
片づけの習慣は、生活のリズムを取り戻すことにつながり、
ひいては「自分らしさ」や「自分への信頼」を回復する手段にもなると感じています。

もし、あなたが今「部屋を片づけられない」と悩んでいるなら
それは、あなたが怠け者だからでも、ダメな人間だからでもありません。
今、ちょっとだけ疲れているだけです。

まずは5分だけ。机の上だけ。1箇所だけ。
そうやって、ひとつ整理してみてください。

きっと、少しずつ心にも風が通っていくはずです。
「また今日もダメだった」じゃなくて「今日はここだけできた」と思える夜を、ぜひ自分にプレゼントしてください。

あなたの空間に、やさしい部分が戻りますように。

空間と感情はリンクしている

最近読んだ本に「感情は空間に影響を受けるし、空間も感情に影響を与える」と書かれていました。
まさにその通りだと、今なら実感できます。

イライラしているときは物を投げたくなるし、落ち込んでいるときは部屋が暗く感じる。
逆に、カーテンを開けて光を入れるだけで、少し気分が明るくなる日もある。

私たちは、目に見えない心の調子を、空間を通して感じ取っているのかもしれません。
だからこそ、部屋を整えることが「心を整えるきっかけ」になる。

感情の整理って難しいけれど、目に見える物を整理することなら始めやすい。
その「始めやすさ」が、私にとって救いでした。

最後にあなたへ

今この記事を読んでいるあなたが、もし「部屋が散らかっていてつらい」と思っていたら
その気持ちはきっと、あなたが、ちゃんとしたいと思っている証拠です。

できない日があってもいい。
できない自分を責めるのではなく「今は休息が必要なんだな」と優しく受け止めてください。

そして、ほんの少しだけ動けそうな日がきたら、
お気に入りの音楽を流しながら、テーブルの上だけでも整えてみてください。

心と部屋は、ゆっくりとリンクして整っていきます。
あなたの暮らしに、静かでやさしい余白が戻りますように。

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