感情がコントロールできないとき、あなたはどうしてる?
朝起きて、なんとなく気分が落ち込んでいる。
仕事中、ちょっとしたことでイラッとしてしまう。
帰り道、涙が出そうになるけど理由が自分でもわからない。
「感情の波に飲み込まれている」ような感覚。
誰にでもあることとはいえ、毎日そんな状態が続くと、心も体も疲れてしまいます。
「自分は感情の起伏が激しすぎるのでは?」
「なんでこんなに気持ちの切り替えが下手なんだろう?」
そう自分を責めてしまう人も少なくありません。
でも、ちょっと待ってください。
私たちの感情は「コントロールしなきゃ」と力を入れるほど、
逆に暴れ出してしまうことがあります。
大切なのは、感情を無理に抑え込むことではなく、
自然に落ち着くしくみを、自分の中に育てていくこと。
今回は、そのための簡単なセルフケア方法として
「カラーブリージング法」をご紹介します。
カラーブリージング法とは?
カラーブリージングとは「Color(色)」と「Breathing(呼吸)」を掛け合わせたセルフメンタルケアです。
簡単に言うと、
呼吸に色のイメージを乗せることで、気持ちを整える方法。
たとえば、
吸う息には「青い光が自分の中に入ってくる」イメージを。
吐く息には「黒いもやが体から抜けていく」イメージをする。
それだけです。とてもシンプルですよね。
でも実はこのイメージの力と呼吸の組み合わせが、
脳と心にやさしく作用して、
感情の波をゆるやかに整えてくれるそうです。
どうして効果があるの?
人間の感情は、自律神経と深く結びついています。
ストレスや怒り、不安を感じたとき、
私たちの体は無意識に「交感神経」が優位になります。
これが「戦うモード」の状態、つまり緊張や興奮のモード。
一方、ゆっくりと深い呼吸をすることで、
「副交感神経」が優位になり、心と体がリラックス状態に入っていきます。
これに加えて「色」が持つ心理的効果が後押ししてくれるのです。
たとえば、
- 青 冷静・安心・落ち着き
- 緑 癒し・安心・自然体
- オレンジ 活力・前向き・陽気
- ピンク 優しさ・愛情
- 紫 直感・静けさ・神秘
といったように、色にはそれぞれ固有のイメージがあり、
私たちは無意識のうちにその影響を受けています。
色彩心理学では「色を見るだけで脳が反応する」と言われています。
つまり、実際に目の前に色がなくても、頭の中でイメージするだけでも効果があるのです。
実際にやってみた
その日は、なんとなく気分が重たくて、SNSを見るのも億劫で、家事も手につかない日でした。頭では「やるべきこと」があるのは分かってる。でも、体も心も、動こうとしない。こういう沈む系の無気力って、経験したことのある人ならわかると思います。
「カラーブリージング法をやってみよう」と思ったのは、そんな夕方。正直、気乗りはしていませんでした。けれど「何かを変えたい」という気持ちだけが、かすかにあったんです。
リビングの照明を少し暗めにして、テレビやスマホの電源を落とし、深く腰を下ろせる椅子に座りました。静かなピアノの音楽をYouTubeで流しながら、目を閉じて呼吸を整えます。
まずは鼻からゆっくり吸って、口から長く吐く。
何度か呼吸を繰り返してから、自分に問いかけました。
「今、どんな色が必要?」
浮かんできたのは、水色でした。淡くて、透き通った空のような、心の奥が少し冷やされるような、そんな色。理由は分からなかったけど「これだ」と直感で感じました。
息を吸うとき「水色の光が胸の中に入ってくる」ことをイメージします。
その光は、のどを通って、肺へ入り、心の真ん中にふわっと広がっていく感じ。まるで、濁っていた水に透明な一滴が落ちて、すーっと澄んでいくような感覚でした。
そして、吐くときには、灰色のもやをイメージ。
水色の光が入ったことで浮き上がってきた感情や疲れが、灰色の煙のように口から静かに出ていく。そんなビジュアルを頭の中で描きながら、静かに呼吸を繰り返します。
3分ほどたったころ、少し胸がチクっとしました。
ふと、思い出したのは、最近あった人から言われたひとこと。そのときは気にしていないふりをしたけれど、本当は傷ついていた。なんで今このタイミングでそれを思い出したのかは分からない。でも「水色の光」を吸い込んでいたら、奥にしまいこんでいた気持ちがゆるんで、ぽろっと出てきたんです。
それが出てきた瞬間、吐く息が自然と深くなりました。
「大丈夫、もう手放していいよ」
そんな言葉が、自分の中から聞こえてきた気がしました。
5分くらい呼吸を続けたあと、目をゆっくり開けました。
部屋の景色は何も変わっていないのに、なぜか、空気が澄んでいるように感じたんです。あんなに動きたくなかったのに、体を起こしてお茶を淹れてみようという気持ちになったのも不思議でした。
やっていたことは、ただ呼吸をしていただけです。でも、色を意識するだけで、呼吸が「動作」から「感情の解放」に変わっていたのかもしれません。
この体験のなかで、私が驚いたのは次の3つです。
- 「必要な色」が直感でちゃんと出てくること
→頭で考えずに、体が欲している色がちゃんと浮かびました。それ自体が自分との対話でした。 - 吐く息で“手放す感覚”が本当に感じられること
→灰色のもやを吐き出すイメージが、実際の「溜め込んでいた感情」のリリースとリンクしていた気がします。 - 終わった後の心の軽さが本物だったこと
→スッキリ!ではなく、静かに落ち着いたという表現が正確。まるで、心の中の湖が波をやめたような静けさでした。
この日はそのあと、久しぶりにゆっくりご飯を作って、お風呂に入って、夜のSNSも見ずに眠れました。特別なことは何もしていない。でも、心のモードが「リセット」された感じがあったんです。
カラーブリージングって、たぶん気合いを入れる呼吸じゃなくて、気をほどく呼吸なんだと思います。
不安なとき、疲れたとき、言葉にならない感情があるとき。
その感情を正そうとせず、ただ「色と呼吸」でやさしく抱きしめてあげる方法。
それが、私にとってのカラーブリージング体験でした。
カラーブリージング法のやり方
はじめての人でも簡単にできるように、
カラーブリージングの基本的なステップをご紹介します。
ステップ1:姿勢を整える
椅子に浅く腰掛けるか、静かな場所であぐらをかいて座りましょう。
リラックスした姿勢で、背筋だけは軽く伸ばします。
ステップ2:目を閉じて、呼吸を感じる
軽く目を閉じ、今の自分の呼吸を観察してみましょう。
早くなっているか、浅いか、詰まっているか…
変えようとしなくてOK。ただ感じるだけでいいのです。
ステップ3:色をイメージしながら呼吸する
- 吸うとき「青い光が自分の中に入ってきて、全身に広がっていく」
- 吐くとき「黒いもやや煙のようなものが、体の外に出ていく」
これを、1〜3分ほど繰り返します。
呼吸の長さは、自分が心地よいと感じるペースでOK。
無理に長く吸ったり吐いたりしなくて大丈夫です。
自分に合った「色」を探してみよう
色のイメージは、状況や気分によって変えてOKです。
- 怒りっぽいときは「青」や「緑」
- 不安が強いときは「ピンク」や「白」
- 元気を出したいときは「オレンジ」や「赤」
あなたが「その色を思い浮かべると落ち着く」と感じるものを選んでください。
正解や間違いはありません。
感情の調整においては「自分の感覚を信じる」ことが一番の近道です。
こんな人におすすめです
- 感情が揺れやすく、疲れやすい人
- 緊張や不安で呼吸が浅くなる人
- イライラしたあと、自己嫌悪に陥りがちな人
- メンタルが不安定で、セルフケアの方法を探している人
続けることで感情の波とのつき合い方が変わる
カラーブリージングは、たった1回で劇的な効果が出るわけではありません。
でも、毎日1分〜3分程度でも続けていくと、感情の波に飲まれにくくなる実感が湧いてきます。
特別なスキルも、道具も必要ありません。
ただ呼吸に色を添えるだけ。
でも、それがあなたの心の「静けさ」を取り戻すスイッチになるかもしれません。
深呼吸に、少しの「色」を添えてみませんか?
感情をコントロールしようとすると、余計に苦しくなる。
だからこそ「整える」方法を、自分の中に持っておくことが大切です。
カラーブリージング法は、
頑張らなくていいセルフケア。
静かに座って、呼吸に好きな色を添えるだけ。
それだけで、心が少し軽くなり、
「まあ、今日もなんとかなるか」と思えるようになります。
不安な日、ざわつく夜、
心がうまく動かない朝に。
ぜひ、今日から試してみてください。